こんにちは。
講師の林です。
先日、OECD(経済協力開発機構)による学習到達度調査の最新結果が公表されました。
この調査は、各国の15歳の学生を対象に
①読解力
②数学的リテラシー
③科学的リテラシー
の3分野のちからを調査するものですが、そのうち①読解力について、日本は2015年(前回調査)の8位から15位に大きく下落してしまいました。
この調査結果から、日本の生徒に何が起きているかを分析していきましょう。
○結果からわかること
調査結果を読んでみると、すべての子どもの読解力が全体的に低下しているというよりも、
「まったく読めない子ども」
の数が顕著に増えていることがわかります。
これは、子どもたちの間にいわば「読解力格差」が生まれていることになります。そうなると、例えば
「学校の授業内容や進む速さが、読解力のある子に合わせられた結果、読解力の低い子は理解できないまま置いていかれる」
とか、さらにそこから
「クラス内で子どもたちが分断される(例えばいじめの増加)」
ということも、進んでゆくでしょう。
○詐欺や事件に巻き込まれる?
この「読解力」という能力は、以下の3つの要素からできています。
①情報を探し出す力
②言葉の意味を理解する力
③その内容を評価する力(正しい・間違い、役立つ・無駄など)
私たちがふつう「読解力」というと②だけを指していることが多いですが、今回の調査は①②③すべてを測定しています。
そして、日本の子どもたちは①と③の力が各国と比べて低いという結果が出ました。
「自力で情報を探せないし、情報の正しさを判断できない」
これは、詐欺など悪意ある犯罪のかっこうの標的だと思いませんか?
つい先日も、大阪府に住む小学六年生の女の子が、SNSでつながった栃木県の男の家に誘いこまれてしまった誘拐事件が起きました。
読解力の低下は勉強への悪影響に留まりません。今まさに、日本の子どもたちが危険な状況に立たされているといえるのです。
次回、読解力を高めるためにどんなことができるかをお話ししたいと思います。
(文部科学省による調査の要旨)
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
(実際の調査で使われたテストの例)
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/04_example.pdf